温故知新 旧き良きモノたち

まだまだ使える旧き良きモノたち。再生・再利用の中に新たな発見や知恵もある。

自らの力だけで移動できるエコな乗り物

まだまだ使える旧き良きモノたちは、ラジオやオーディオといったインドアで活躍するモノだけではなかろう。コロナ自粛期間中に実家の物置を片付けていて、出てきたモノの中に自転車のフレームや部品の数々があった。

思い起こせば、28年前の阪神淡路大震災の時に、自転車で神戸から西宮北口まで行き、そこから阪急電車で大阪まで仕事に行ってたんやと。ボロボロになったロードレーサー(昔の言い方。今はロードバイクという) の部品を全部取り外し、フレームは塗り直した。フレームはクロームモリブデン鋼(通称クロモリ)で、石渡022(今はカイセイというらしい) というパイプで構成されている。取り外した部品や交換用の予備の部品は見つかったものを全てを磨いてみた。さすがにゴムやプラスチック部品はベタベタに溶けたような状態だったのであきらめたが、スチールやアルミは意地になって磨いて、元の動きをするかどうかを確かめた。並べてみるとこんな感じ。

あと少し買い足せば何とか1台分にはなるかなと

チェーンやケーブルを買い足せば1台作れるんやない? と思ったら、早速構想を練ることにした。機能的な部品は最新のパーツに交換して現代的快適仕様にするか。いや、ここはオリジナルを復元することにしよう。昔のパーツのサビを落として、きちんと動くようになると「オレを使ってくれ」と言わんばかりや。ということで、およそ35年前ぐらいの状態に復元してやることにした。

ポイントは2つ。1つ目は変速方法。今はブレーキレバー付近に変速レバーがあり、ハンドルバーから手を離すことなく変速できる方式が主流だ。

カンパニョーロ エルゴパワー10速 (これもすでに旧いが。。。)

それまでは、フレームのダウンチューブにある2つのレバー(Wレバーという)で操作する方式だった。

ラチェット機構もないシンプルな変則レバー

ヒルクライムなどでタイムを競うときには、圧倒的に前者有利だが、街中をポダリングする程度なら、Wレバーでも何の支障もない。何と言っても構造がシンプルやし。今回はWレバーを採用することにした。

もう一つのポイントはペダルかな。今のロードバイクはほとんどがビンディングペダル。シューズの底に取り付けたクリートと言われるものをペダルにカチッとはめ込む方式。

LOOKの初代ビンディングペダル P-66 (これもかなり旧い。。。)

ビンディング方式の前は、トウクリップとストラップでシューズを固定していた。これの良いところは、シューズは普通のスニーカーでも可というところだろう。

三ヶ島というメーカーが今でも作ってくれている

これもポダリング程度なら、こっちの方が使い勝手がいいかも。ギュッと締めてしまうとアクシデントのときに大変なこけ方をしてしまうので、足を真後ろに引けば、スッと抜けるぐらいにしておくのが普段使いのコツだろう。今回はビンディングペダルは見送って、クリップとストラップにした。

他にも旧き良きパーツはあるのだが、それはおいおい紹介することにしよう。ひとまず、完成車の画像を載せておこう。

コンポーネントシマノDura-Ace7700系

ステム、シートポストはシマノ600

まだまだ使える旧き良きものたち。この自転車で、近所をウロウロした記事も投稿することにしよう。

ではまた次回をお楽しみに。

レコード人気復活のようやね (カートリッジ編)

前回はレコードプレイヤー本体を紹介した。今回は音の入口の部分のカートリッジについて紹介しよう。前回にも言ったとおり、オーディオの専門家でも専門サイトでもないので、ザックリと行こう。「ふ~ん、そんな感じか」と思ってもらえれば十分。

そもそも、カートリッジとは何をするものか。レコード針がレコードに刻まれている溝から拾ってきた小さな振動を、何とかして電気信号に変えようと頑張っているやつだと思えばいい。振動を電気信号に変えるのに磁石とコイルが使われている。針に直結された磁石が固定されたコイルの中で動いて電気信号を起こすタイプが MM型 (Moving Magnet)。針に直結されたコイルが固定された磁石に対して動いて電気信号を起こすタイプが MC型 (Moving Coil)。カートリッジはこの2種類に大別できる。(audio-technica社が VM型というカートリッジを作ってますが、これは MM型と同じと思っていい)

左がMM型カートリッジ、右がMC型カートリッジ

どちらがいいというものではない。余分な振動を拾わず、音がクリアな MC型の方が優れているという説もあるが、MC型は構造上から針の交換もできないし(画像を見ればわかるよね)、出力される電気信号も小さいので、昇圧トランスとかヘッドアンプと呼ばれるもので増幅してやらないと音源としてのレベルには達しない。一長一短やね。これからレコードを聞いてみようかなと思っている人には、選択肢が多く、扱いやすい MM型をおすすめする。値段の幅もあるので、安価なものからいくつか試してみて違いを実感する楽しみもある。

固い話が続いたが、もし、レコードに興味を持ったら、あのレコード盤に刻まれている溝が全ての音源だということを思い出してほしい。その溝をダイヤモンドの針でトレースして、針と直結している磁石を細かく振動させて電気信号を起こして、アンプでその電気信号を大きくして、最後にスピーカーで電気信号を空気の振動に変えて音として聴いているわけだ。

振動 ⇒ 電気信号 ⇒ 振動

普段、スマホとかで音楽を聴いているときは

データ ⇒ (D/A変換)電気信号 ⇒ 振動

前者の方が、何となく目に見えてるところもあり、個人レベルでの工夫の余地もあり、楽しむにはいいのかもしれない。最近、アナログの人気が復活している理由はそのあたりかな。

まだまだ使える旧き良きものたち。次回はオーディオから外れてみようか。

ではまた次回をお楽しみに。

レコード人気復活のようやね (プレイヤー編)

タワーレコードディスクユニオンといった大型店でレコードが大量に扱われているよね。山下達郎さんとかは、新たにプレスしたり。人気復活なんだろうか。この人気、しばらく続いてほしいなぁ。ということで、数回にわたってレコードにまつわる話をしましょう。まずは、レコードプレイヤーから始めよう。オーディオ専門家のサイトではないので、使う人の立場でのザックリした話ね。

レコードプレイヤーは、大雑把に言うとターンテーブル(レコード盤を置くところ)とトーンアーム(レコード盤をなぞっていくアームね)で構成されている。ターンテーブルを回転させる方法は、モーターと直結しているダイレクトドライブ方式と、ベルトを介するベルトドライブ方式がある。昔はリムドライブ(アイドラードライブ)と言って、ターンテーブルの内側にホイールを接触させて回転させる方式もあった。これからレコードプレイヤーを買おうと思っている人は、ダイレクトドライブ方式がいいと思う。選択肢も多いし、おそらくメンテナンスフリーだし。私が高校の時に手に入れたレコードプレイヤーもこのダイレクトドライブ方式。この方式は、直流モーターが直接ターンテーブルを回転させているので、回転を微調整する必要がある。ストロボの点滅に合わせてターンテーブルのブロックマークがピタッと止まれば回転はバッチリ。

使い方はシンプルなのでコツといったものは無いが、セッティングには少々手間をかけた方がいい。まずは水平ね。これは、水準器付きレコードスタビライザーが便利。

YAMAHA YP-D51 真ん中にあるのがスタビライザー兼水準器

 

次に針の位置を決める。オーバーハング調整ってやつ。ターンテーブルの中心に針を持っていったときにだいたい 15mm ぐらい離れていればいい。これは、針がレコードの溝をトレースするときのトラッキングエラーというものをできるだけ少なくする調整なんです。もっと詳しく知りたい人は専門のサイトをググッてみてください。

円形のレコード盤の接線方向にカートリッジが沿っていればよろしいかと

針を中心に持ってきたときに 15mm ぐらいのところにあればOK

 

次は針圧。針にかかる重さね。まず、トーンアームがバランスよく水平になるようにカウンターウェイト(お尻の重り) を調整。水平になったら、その状態でカウンターウェイトの目盛りだけをゼロに合わせる。それから適正針圧の重さの目盛りまでカウンターウェイトを回す。これで針先に適切な圧がかかるというわけ。

最後はインサイド・フォース・キャンセル(アンチスケーティングとも言う)。もし、全く溝の無いツルツルのレコード盤に針を落とせば、スゥーと中心に引き寄せられる。つまり内側に向かう力が発生してるわけ。そのままにしておくとレコードの溝の内側に常に力が加わった状態になる。その内側への力を打ち消そうという設定。ダイヤルで設定するものもあれば、物理的に重りで引っ張るものもある。

針圧は 1.5g 分銅みたいなのがぶら下がっているのがインサイドフォースキャンセラー

 

「めんどくせ~」と思った人も多いやろね。でも、少々ええかげんでもそれなりに音は出るんよ。間違えたらエラーで先に進めないデジタルとは、そこが違う。そして、きちんと手間をかけた分だけ、音がよくなった気分がする。(笑) アナログがちょっぴり楽しいのはそういうところかもしれない。

まだまだ使える旧き良きモノたち。次回はカートリッジの話をしましょう。

ではまた次回をお楽しみに。

「ラジオ」という存在

コロナ自粛期間中に納屋の整理をしていて出てきたモノたち。ちょっと修理・調整すれば、まだまだ使える旧き良きモノたちを紹介していこうと思う。単なる紹介に終わらずに、使い方のコツや長く使うための秘訣などを伝えていけたらと。まぁ、そう言っても数に限りはあるとは思うし、いつまでネタが続くかわからないけどね。

まず最初はラジオ。今は radiko というアプリで、スマホがあればいつでもどこでも好きな番組が聴けるよね。昔は当たり前だけど「受信機」が必要で、それがラジオというわけ。一般的に受信できるのは、中波 (MW:Middle Wave)、短波 (SW:Short Wave)、FM (Frequency Modulation) の3つの電波と思っていい。radiko だとそれらの電波の種類は意識しなくてもいいけど、ラジオの場合は上手に受信(雑音や混信とかを少なく)しようと思うと、ちょっとした工夫が必要なんです。

SONY スカイセンサー 5600

これは、私が中学生の頃にお年玉を貯めて買ったラジオです。SONY スカイセンサー5600 といいます。もちろん、こいつで番組を受信するのにも少しコツが要るわけです。

中波 (MW) の場合、これは外部に飛び出しているアンテナは関係ないんや。ラジオの中に内蔵されているアンテナで受信してるから。良好に受信しようと思うと、ラジオのアンテナの長軸を放送局の方向に垂直に向けること。放送局の方向にラジオの正面を向ければいい。

短波 (SW) の場合、これは外部に飛び出しているアンテナを真上に垂直に伸ばす。海外放送とかは中々この短いアンテナでは良好に受信するのは難しく、家の外にアンテナを立ててそれに繋ぐ人も居た。

FM の場合、これも外部に飛び出しているアンテナを使う。これは短波と違って、色んな方向に振ってみて一番良好なところで受信すればいい。

それと総じて言えることだけど、夏より冬の方が受信状況は良い。昼間より夜の方が受信状況は良い。これらはラジオのせいではなく、電波の都合なんです。

このラジオ、まだ現役でいけそうだったが、つい先日、FMしか受信できない状態になってしまった。いつか分解して、修理をチャレンジしてみようと思っている。

私が中学生の頃は、このラジオが、学校や近所とは違った世界と触れることができる唯一のガジェット(?)だったわけ。つまり今のスマホみたいなものやね。ラジオの向こうの知らない人たちとのコミュニケーションは SNS の前身みたいなものだったのかもしれないね。

まだまだ使える旧き良きモノたち。納屋から引っ張り出して、再生した順に紹介していこうと思う。

ではまた次回をお楽しみに。